イラスト色塗り(着彩)の基本・コツと、色選びと色づくりの方法を解説
コミックイラストコースこんにちは。アートスクール大阪・コミックイラストコースの吉川です。
今回はイラストの魅力を左右する⁉着彩の、特に『色作り・色選び』についてお話ししたいと思います。
初心者・経験者共に、イラスト・マンガ制作工程の中でも重要なポイントであり、必要な技術になりますので是非ご覧ください。
1.色選び・色作りの基本を学んで、失敗しない色作り(デジタル・アナログ)
デジタル着彩では、ソフトの様々な便利機能で手軽に色塗りができます。
ですがデジタル着彩・アナログ画材共に着彩で悩ましいものの一つが『色』であり、その色を着彩する際の色作り・色選びがなかなかに難しかったりします。
私は学生の頃、よく考えず分からないままに適当に色を作っては、いつも渋い色味になりがちでした...。
当時アナログ画材の不透明水彩で着彩していましたが、色を混ぜすぎていたのです。
アナログ画材の場合、いろんな色を混ぜすぎると色が濁ってしまうのです・・・。
どれとどれを混ぜれば思った色ができるか予測が立てれられず、適切な色選択ができていないので、色を加えては混ぜを繰り返して色を作ったのが原因でした。そんな試行錯誤も大事なのですが、やみくもにやっていては思い描いた色には、なかなかたどりつけません・・・。
最初に着色したい色を頭でイメージして、次に色を作るのが理想的です。
絵具で色を作るとき、この色にはどんな色が何種類含まれているのだろうか?と考え、含まれている色(絵具)を予測して混ぜ、作成していきます。
デジタルの場合はカラーサークル(カラーサークルパレット)などからチョイスするのですが、色づくりの考え方はアナログ画材と同じで、何色を混ぜればどんな色が生まれるかすぐわかれば、カラーサークルから着彩したい色をすぐ選ぶことができます。
2.「色選び・色づくりの経験値」と色塗りスキル向上のコツ
つまりデジタルもアナログ画材でも色選びの判断が早くできると、スムーズに思いのまま色を作ることができるのです。
イメージする色を作りたいとき、又は参考にする色味を再現したいときに、色づくりの知識や経験値を多く積んでいると、かなり色づくりがスムーズになってきます。
では、どうしたら色づくりの経験値を積めるのか...
それは『色を分析して、再現する』事だと私は実感しています。
以前にアニメの背景の仕事を少ししており、美術監督が描いた美術設定画をもとにシーンの背景を描くのですが、色見本を基にこの色味はどうやって作るんだろうと考えては試して色を作って再現することが常で、その経験がその後も色を作る際にとても役立ったと感じています。
以下で練習例を記載してまいりますので、色で悩まれている方はご参考になさってくださいね。
3.色選び・色作りを極める!カラーサークルを使ったデジタル着彩の練習例」
①モノの色・素材を観察・分析して色選び(例:夕焼けのグラデーション)
まず最初に必要なのが適切な色選びです。モノに使われている『色』を知る必要があります。何色が含まれているか、色味のどの色が強いか等を見極めて色を選びます。
色作りに慣れるための練習として、身の回りのものにどんな色味が混ざっているか、まずじっくり観察してみましょう。光が当たって明るい部分と影の部分の色の変化にも注目です。
例えば夕方の空の紫色系の色味を作りたいとき...
何色を混ぜればできるのかな?
青と赤の色を合わせればいいかも!
と、何色からできた色かすぐわかればカラーサークルから探しやすいですよね。
しかし青っぽい紫色なのか赤みの強い紫色なのか....紫色一つにしてもかなり色幅があり、色づくりはかなり奥深いので
す。
②カラーサークルの色選択・分量の理解を深め、色の組み合わせを極める!
色味の鮮やかさ、暗さ、明るさも注目してくださいね。
慣れないうちはすぐに見つからなくて難しく感じるかもしれませんが、何度も探しては塗ってと塗りたい色を探すうちに、
色選びのレベルが知らず知らずのうちに上がっていますよ!
※アナログ画材であれば使われていそうな色絵具をいくつか出して、どれくらいの分量が含まれているか考えながら
作ってみましょう。
※デジタルならではですが、素敵な色味の写真やイラストの色をスポイトで取って、カラーサークル等でチェックしてみるのも、とても参考になります。
思いがけない色が使われていたり、綺麗な色の組み合わせの発見があったり・・・
色選びが慣れないうちは、お好きな色や気になる色彩を観察し、様々なやり方を試して、ご自身の色の引き出しを増や
してみてくださいね。
またデジタルのメリットは色調補正の色相・彩度・明度編集でレビューを見ながら微調整できますが、
ここでも色味をどうしたいか経験値が少ないと、やみくもに調整することになります。
色調整にも色選びと色づくりの経験値があった方が、スムーズに行えます。
③色選択のための観察ポイント(例:肌の色と肌の塗り方)
顔や体、また髪の毛や瞳などの各パーツはよく見ると部分的に色味が変化しています。
ベースの色にハイライトや影の色を重ねる事で立体感を表現できますが、さらに色選択を適切に行うことで表現にリア
ルさが増します。
デジタルであれば、色のレイヤーを重ねることで立体感や深みを表現することも可能です。
・色素の薄い肌の場合は薄い部分は赤みが強かったり、血管が透けて緑味がかっていたりします。
(環境や感情、体調にもよりますが、描く際にそんな状況を取り入れるとより説得力が増しますね!)
・色素の濃い肌の場合は皮膚が集まる部分(シワや目鼻周り)がより濃くなっています。
・光が当たってる部分は明るくなり逆に影は暗い。その時の明暗それぞれの色味にも注目です。
4.色彩・配色の基本を習得してオリジナルの世界観を表現
イラスト制作の基本はデジタル・アナログともに基礎が大事です。
デッサン力や空間把握の基本を押さえ、加えて色塗り(着彩)の実践経験を積み、知識・経験を積み重ねていきましょ
う。
デジタルツールを使ったイラスト制作は、様々なデジタル技術やエフェクトを加味することで、アナログとは違う表現をす
ることも可能です。
イラストのデジタルツールには、クリスタ(CLIP STUDIO PAINT)やプロクリエイト(ProCreate)、イラストレーター(
Adobe illustrator)など様々なペイントソフトがあり、それぞれに特徴があります。色相・配色だけでなく、明度やハイライ
ト・塗り・ぼかしの調整(濃度・範囲等)、ブラシの使い方やレイヤーテクニックなど、デジタル技術を極めることは、イラス
トの完成度を上げるための重要な要素になります。
陰影や深みを極めるためのテクニックやクリザイユ画法の他に、新しい技術習得やバージョンアップによる新しいハウ
ツー・Tips習得も技術力の一つです。基礎を習得し、多くの実践を積むことで、全体の雰囲気や見栄え・質感等にもこだ
わったキャラクター制作や、オリジナルの世界観を表現することができるようになります。
5.まとめ
じっくり観察してみると実にいろんな色であふれています。
基礎知識や基本技術の習得はもちろん大事ですが、遠近では空気の層で色味が変わったり、季節や時間帯で移り変
わる太陽光の強さ・影の濃さの変化など、同じ物でも環境によっても色味が変わります。そんな変化に注目する観察眼
も日々意識して『観』て頂く事で育っていきます!
実物を観察して色を分析したり、実際に色を作る練習など実践により多くの経験をすることも大変重要になります。
どんな色が混ざっているのか、しっかり観察して色を作るのがポイントです。
WEB上で画像や動画など多くのコンテンツがあり、知識や情報を得ることはできますが、実際に経験することで技術が
身に付きます。練習の繰り返しで色づくりの経験値が付きますので、焦らずじっくりご自身のペースで経験値を積んでコ
ツをつかんでいきましょう。
(ブログ下に追記)
アートスクール大阪コミックイラストコースでは、ブラシやペン、ガッシュやコピック・色鉛筆等のアナログ画材はもちろ
ん、iPad等のデジタルツールも教室にご用意しています。
アナログ画材・デジタルツール機能の基本的な使い方だけでなく、それぞれの特徴・技法・キャラクタ―や背景等描
き方のコツ・テクニックについて対応可能なプロ講師から学び、実践していくことで確実に画力が上達します。
吉川 奈緒