ZINE(ジン)という方法

「絵本の手製本が、メンドーだ」
「もっと個人的な作品をつくりたい」
「ニッチな表現が好きだ」

そんなふうに「絵本」という言葉の持つイメージが、作品づくりの邪魔になるのなら、ZINE(ジン)にしてみたらどうでしょうか。

「ZINE」とは個人で作った本、小冊子のことです。諸説ありますが、名前の由来「Magazine(雑誌)」の“ZINE”が語源で、1950年代にアメリカの詩人たちが自分たちで詩集を制作した事が、始まりと言われています。

だから「ZINE」は、テーマも体裁も自由です。とにかく全てが「自由」、写真・イラスト・詩など内容も自由です! そして仕上がりのサイズ、方法も自由なので、折り紙でも蛇腹でも、コピーしてホッチキスで閉じるだけで、もうZINEの完成です。

そして手軽にできる事で「ZINE」は、いろんな場面で発表されています。
例えば、「わたしのマチオモイ帖」という、日本全国のデザイナー、写真家、イラストレーター、映像作家、コピーライター、編集者などプロのクリエイターが、自分にとって大切な町、ふるさとの町、学生時代を過ごした町や、今暮らす町など、各地の町で育まれた「わたしだけの思い」を小冊子や映像作品にして紹介する展覧会活動があります。

この活動は2011年の震災の年に生まれ、故郷を思う一冊からはじまり、都市での大きな展覧会から、地域に根ざしたギャラリーや図書館、町の小さな本屋さんまで、大小さまざまな場所で展示され、今では1600帖を超える作品が集まっているそうです。

「マチオモイ帳の近畿の大阪のページ」

私も参加して、仕上げはネット印刷の「グラフィック」で印刷しました。中綴じの小冊子、オフセット印刷ではなく、オンデマンド印刷なら少ない部数でも対応可能なので安価で部数を作成する事が出来ます。

「グラフィック」

また、学校の休憩室の置いてある「レトロ新聞」の発行所であるレトロ印刷の母体、「JAM」は孔版印刷に特化した大阪の印刷会社です。シルクスクリーン製版サービス、ウェブショップやワークスペース・ギャラリーの運営、イベントなどを行っているところです。ウェブショップではZINEの販売もされています。

「JAMのZINEの販売ページ」

仕上がりは自分の作品集やポートフォリオや販売用のハンドメイド雑貨の商品としてもよいし、版画のように少部数の芸術作品として発表するのも面白いです。自由に作成する事を楽しんだら(=悩んだら)、次の絵本制作の時には今迄と違ったアイデアが生まれると思いますよ!

絵本コース講師/中田弘司

 

中田 弘司

中田 弘司
Profile
制作事務所勤務デザイナーを経て、1989年よりフリーランス。
今までに幼児向け雑誌絵本等にて100話以上のお話の挿絵制作。
絵本をはじめ、「ビッグコミックオリジナル・増刊号」(小学館)表紙イラストや、
月刊誌「大阪人」にて歳時記や町歩きの画文の連載等、
壁画からキャラクターまで多様な作品を制作。
東京・大阪・神戸にて個展多数。主な絵本に「ぷぅ」( 作:舟崎克彦/ポプラ社 )がある。
Message
目には快感、心が楽しみ、気持ちを遠くに運ぶ
絵本やイラストを目指しています。
仕事での経験を生かし、一緒に考えながら、アドバイスをします。
ArtWorks
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