「トライ&エラー」当たっても砕けずに、試行錯誤。

生徒さんが描かれたラフ画

写真は、新しい作品に取りかかられる生徒さんのラフです。絵本づくりは、ここから始まります。
一度ラフを作っても、思いつきだけで仕上げないように、ラフは何度も修正します。
ラフを描き上げたときは納得していても、改めて見直すといろんな部分が見えてきます。時間をかけてお酒が醗酵するように、作品を仕上げます。

 

アイディアを形にします

頭の中のアイデア、イメージ、メッセージを眼に見える形に取り出します。考えているだけでは、どうしても内容はグルグルと渋滞し、新しい道を見つけることができません。
いろんな方法はありますが、はじめはサムネールと呼ばれる小さな絵や文で確認します。サムネールとは親指の爪、つまりそれくらい小さなスペースに描かれた絵からアイデアを整えます。

 

一般的な絵本は15見開きで出来ています。これだけのページ数があれば、同じストーリーでも、構成によっても伝わり方が変わってきます。そのためにはコンテと呼ばれる見開きごとにイメージを、進行順に並べて考えます。次はダミーと呼ばれる束見本、ページの流れが確認できる状態でのチェックします。

 

そこでは、ページをめくるリズムや緩急を確認します。それに納得したら、やっと原画を制作します。もちろん、いきなり原画を仕上げる方もおられますが、どうしても設定に破綻が出たり、時間が過ぎてもっと良いアイデアが浮かんだりして、修正ややり直しが出てきます。結局、行ったり来たりしながら、考えをまとめる事が早道なのです。

 

絵本は、ストーリーが大切ですが、それ以外にも文章の音読した時の感じ方も考えます。また見開き一場面の絵も大事ですが、ページをめくって世界が変化する楽しみもあります。
つまり、小説でも一枚絵でもなく、絵本として楽しめ、絵本ならではの特徴はなにかということを考えて構成します。

 

時には未完成であっても形にすること良い事です。しかし、焦らずに「トライ&エラー」を楽しむことが、絵本作りには重要なのです。

 

絵本コース講師 中田