こんにちは。マンガコースです。

 

今回のブログは人気マンガ『約束のネバーランド』の展覧会に行ってきたので、その感想レポです。

 

『約束のネバーランド』はご存知の方も多いと思いますが、週刊少年ジャンプで連載されていた、原作・白井カイウ先生、作画・出水ぽすか先生によるファンタジーマンガです。

そしてこの度、小説化・アニメ化・実写映画化と多くのメディアミックスも行われている、とても人気のあるこのマンガの完結記念として展覧会が開催されると知り、開催前から楽しみにしていました!

 

 楽しみにしていた理由は、作品自体が好きだということももちろんありますが、それにプラスして、完成原稿がカラー・モノクロともにデータ原稿しかない作品展に行くのは初めてだったので、どんな風に展示されているのか?ということにも興味があったからです。

マンガの展覧会は色々行ったことはあるのでもちろんデータ原稿の展示もありましたが、そういう場合、現在はデジタル作画の漫画家の方でも連載初期の頃などはアナログ原稿だったりするので、いわゆる「原画そのもの」もしっかり展示されていました。

けれど今回は完成原稿は全てデータ原稿。データ原稿のみでは結局印刷されたものを展示していることになるので、それだとコミックスとあまり変わらないのに展覧会としてはどんな風にするのだろう??と興味津々だったのです。

 

 会場へは空いてる時間を狙って平日午前中に行ったのですが、思っていたより来られている方が多かったです。

物によっては前の方が見終わって順番が回ってくるのを結構待たねばならない箇所もあり、さすが人気作…!と改めて実感しました。

 

 会場に入るとすぐに作者の方の直筆色紙(貴重!)が何枚か飾ってあり、すぐにテンションが上がります!

展示自体は物語の流れに沿っていくつかのエリアに分けてあり、さっそく原稿展示エリアに向かいます。

なんとそのエリアは写真撮影可とのことです!

普通の原画展では撮影不可がほとんどなので、やはりこれもデジタル原稿だからなせる業…なのでしょうか?

 

 原稿自体はデータなのですが、普通のアナログ原稿と同じB4サイズにとてもきれいに印刷されていて、コミックスで見るよりも細かい所まで見ることができるのが良かったです。

また、作者のお二人がそれぞれコメントを書いてくださっているページもあり、それも興味深く拝見できました♪

そして途中途中にマンガで出てきたモチーフをリアルに再現されたものも展示されていて、そこではご自身も一緒に写真撮影されている方もたくさんおられました。

やはり二次元の、しかもマンガではモノクロだったものがこうして三次元で再現されるとテンション上がりますね♪

 

 物語のラストまでをダイジェスト的に追った原稿展示の後、人だかりでなかなかな進まないエリアに突入です。

ここは、「約束のネバーランド」が出来るまでの過程を展示されているエリアです。

ここには作品の作り方、だけでなく、そもそもこの連載が決まる前の段階の、原作の白井先生が「約束のネバーランド」の原点となる、編集部に持ち込まれた15話分の実物ネームの一部が展示されているのです…!

マンガを描いたことのある人なら、一度に15話分のネーム…と聞くだけでも恐ろしく&驚きますが、またそのネームがとてもすごくきれいな事にも驚きました…!

私が今まで見たことのあるネームの中でもダントツで絵も字もきれいで、このまま下描きとしても十分使えそう…!と思えるくらいとても丁寧に描かれていました。

さらにそれが15話分ものネームで、全てをこのクオリティで仕上げることが出来ること自体、さすがとしか言いようがありません…!

ネームは残念ながら全部は展示されていませんでしたが、展示されていたものだけを見ると「約束のネバーランド」を集約したような原型という形で、この時点で物語がきちんと作り込まれていたことが分かりました。

 

 さらにキャラのデザイン案なども初期分から展示されていて、どのように変化していって今の最終的な形になったのかも分かりました。

とても細かい所まで配慮されていて、作画の出水先生のこだわりもしっかり垣間見えて、やはり話・絵ともにこだわっているお二人が組まれた分、この作品が素晴らしいものになったんだなぁと実感できました。

 

 そのまま先に進むと、さらにもっと人の流れがゆっくりになってしまうエリアに。

そこにはこの展示会に合わせて制作された最終回後の主人公たちを描いたマンガの原稿が展示されていました…!

内容は展示会に行かれた方だけのお楽しみなので触れませんが、(私的に)目玉なのが、そのマンガのネームも一緒に展示して下さっていたことです!

まず先に完成された原稿を読めるのですが、その後ネームが展示されていたので、人のいない隙を狙って(笑)ネームと完成原稿を見比べまくってしまいました(笑)

 ネームだけでも細かく描かれているのですが、完成原稿はそれをさらに細かく・美しく仕上げてあるので、ネームだけでも見応えがあるのに原稿になると迫力がさらに増していることに感動です…!
(ただしこの辺りは前半と違い、写真撮影は不可でした。)

 

 その後、作品が出来るまでの流れや、この展覧会のポスターなどにも使われているキービジュアルであるイラストの、下描きから塗りが出来上がるまでが動画で展示してありました。

デジタルカラー作画をされている方にとっては、とても貴重な動画です…!私もガッツリ(笑)拝見させていただきました。

アシスタントさんがいるとは言え、マンガの扉や雑誌やコミックスの表紙などのカラーも連載中に挟んでしなければならないので作画や着彩スピードはかなり重要だと思いますが、かなりの倍速での再生とはいえ、流れるような作業は本当に素晴らしいです…!

カラー用のペン入れが終わってからでも、そこから色を塗りつつもキャラを増やしておられたりの調整を重ねていて、そういうことはアナログではなかなか出来ないので、着彩しつつも色々に変更できるデジタルは良いツールだなぁと改めて思いました。

 

 最後はグッズ販売コーナーがあり、そこで終了となります。

グッズもたくさんあって、大量買いされている方も大勢いました。

うらやましい…。

 

 行く前はデジタル原稿だけの展覧会なのでどうなるのかな?と思っていましたが、とても見応えアリ&勉強になった展覧会でした!

また、作者の方が原作と作画とお二人いることで、コメントも多めなのも興味深かったです。

特にお二人がお互いに尊敬し合っておられるのがよくわかるコメントで、読者としてはそういう部分も知れるのが嬉しかったです!

 

 現在はデジタル作画の作品がかなり多くなっているので、「原画展」と銘打っても、本当の意味での原画は存在しないため、展示の在り方も今回のようにより工夫されたものに変化していくのだろうと思います。

「原画展示」はマンガを描く人にとってはとても勉強になるのですが、逆に「原画」以外のもの、例えばネームなどの制作過程のものはマンガを描かない方には新鮮に映るでしょうし、作中の小道具や舞台を実物大に再現したものなどの立体展示は、原作そのものを良く知らない方でもより楽しめるのではないかと思います。

そこでまた作品に興味を持っていただけると、マンガに携わる者としても嬉しい限りです。

 

マンガ作品の展覧会は色々開催されています。

またぜひいろんな作品の展覧会に伺いたいと思っていますし、行ったことがないという方がおられましたら、ぜひ一度足を運んでいただけると嬉しいです!


約束のネバーランド展
【大阪会場】

2021年3月17日(水)~4月5日(月)
大丸ミュージアム<梅田>(大丸梅田店15階)
※混雑状況など会場情報は大阪会場Twitterへ


井原 安子

ihara2014
Profile
同志社大学経済学部卒業
大学在学中に漫画家デビュー。
以降、読み切り・連載作品を発表、コミックス出版を重ねる。
現在はフリーのマンガ家として活動中。
Message
小さい頃から、マンガを描くのも読むのも大好きで、今は趣味も仕事もマンガという大人になりました(笑) 特に読む方はジャンル問わずです。
好きな気持ちとやる気は、マンガ制作の大きな力になります。初めての方もレベルアップしたい方も、ぜひ一緒に頑張っていきましょう!
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