ウィリアム・モリスと「自分でつくること」

突然ですが、阪急百貨店うめだ本店 通称うめはんに
英国フェア2018がやってきます!

毎年開催されている9階催事場の恒例・英国フェアですが、
今年は併設のギャラリーでも英国を感じる展示が行われます。
その名も…『ウィリアム・モリスと英国の壁紙展』
じつはわたくしウィリアム・モリス、大好きなんです。

(図・出典- https://en.wikipedia.org/wiki/William_Morris )

ウィリアム・モリスは19世紀に活躍したデザイナーで、テキスタイルやタペストリーなどのパターンを多く生み出したモダンデザインの父でもあります。

彼の残した言葉で
「美しいと思わないものや役に立たないものを家に置いてはいけない」
というものがありますが、この言葉、本当に刺さりますね……!
我が家には美しくないもの,役に立たないもの,
何となく捨てられないでいるもの、山積してます!

よくよく考えたら…
梅田のど真ん中でウィリアム・モリスの展示が見られるって、すごい!
しかも当日は実際の壁紙印刷に使われていた木版も展示されるようで期待大です。

モリスのなにがすごいかと言いますと、まずそのデザイン。
壁紙のように継ぎ目のない連続したパターンのことを
『シームレスパターン』というのですが
これ自体は世界中に古くあるものなので珍しくはないのですが
草木や花などの複雑な要素を組み合わせて絵画的なパターンを生み出しています。

コントラストの強い色使いも素敵です。
濃紺に白や赤、黄など、ともすれば色同士がケンカしそうな強い色合いも、物怖じすることなくデザインに組み込んでしまうこの男気!版を細かく分けて何版も刷りかさね、立体感を持たせています。(見るたび思うのですが、この壁紙が似合うお部屋って…どういう感じなんでしょうかね)

モリス作品でわたしが一番好きなところは、モチーフ選びです。
彼は庭や故郷に咲く野の花、樹木、草、小動物などをモチーフにしたと言われています。自分と縁遠いものをモチーフに選ぶと「あれ、ここどうなってたっけ?」と思った時に資料探しに苦労するもの。今でこそインターネットの普及で資料探しは便利になりましたが、インターネットに落ちている素材や資料にはそれこそ撮影者さんや執筆者さんの著作権のものです。

身近なものを観察しデザインに落とし込むという作業は、地味でありながら大変な労力を要しますが、描きあがったものの著作権は自分自身に帰属しますし、他の人にはない味が生まれます。フリー素材がたくさんある現代だからこそ「自分でつくること」の重みを考えさせられます。

ところで
先日アパレルブランドのH&Mから
ウィリアム・モリスとのコラボレーション商品が発売されました。

ファストファッションブランドとのコラボというのは、モリスの提唱していたアーツ&クラフツ運動の「手仕事の美しさ」という理念からは皮肉なほどにかけ離れていますが、100年以上前のテキスタイルが現代のファッションの一部として使われているという喜び!素直に喜んではいけないかもしれませんけど…(苦笑)

モリスが住んでいた邸宅のダイニングルームの壁紙として使われていた『ピンパーネル』というテキスタイルを使ったブラウスをわたくしも購入……!!
似合うかどうかは…わかりません……

 

 

 

多田 暢子

多田 暢子
Profile
大阪市立工芸高等学校ビジュアルデザイン科卒業
Message
デジタルイラストの華やかな 色使い惹かれ、ストーリーを感じさせるようなイラスト作りを心掛けてきました。
キャラクターの可愛さ、格好よさだけでなく、
着色やデジタル加工ひとつでよりよい作品に仕上がると信じています。
いろんな技術やテクニックを習得し、デジタル作画技術の向上を目指します。
魅力的なデジタルイラストを楽しく制作するお手伝 いができたらと思います。
ArtWorks
講師インタビュー

 

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