自分が好きな物語を描くべき?


物語を作っていると、「こっちの方が良いかもしれない。」、「いや、やっぱりこっちの方が良いかもしれない。」など、いろいろ悩むことがあると思います。
そういうときは、自分が「好きだなぁ」と感じる方を選択しましょう!
趣味で漫画を描いている方であればもちろん、「自分の好き」を最優先にすべきですが、
プロを目指す方や、読者から良い評価が欲しいと思っている方でも、「自分の好き」を大切にするべきだと、僕は思っています。



特に数多くの作品を作っていくと、段々と「一般受け」を気にするようになってしまう傾向があります。
僕自身もそうでした...
もちろん、それはとても大事なことですが、あまりに気にしすぎると、「自分の好き」が消えてしまう危険性があります。
不思議なことに、自分で「あまりつまらないな」と思って描いているものは、一般受けするような作品だったとしても、なぜか高く評価されることは少ないです...
しかも、漫画を作るには時間がかかります。
自分で描いていて楽しくない、そして評価されないというのは、あまりに苦痛ですよね...
やはり、「自分の好き」が全面に押し出されている作品の方が、評価される傾向にあると僕は思っています。
ですので僕は、自分が「好きだなぁ」と感じる作品を描いていくことをお勧めします。
時々受講生の方で、初めて漫画を作るという方が、「一般受け」をすごく気にされる時もありますが、僕は初めてなら特に、自分の好きな物語を描くことを勧めています。
なぜならそれが、あなたの原点になるからです!



しかし、これにはいくつか注意が必要です!
それは、自分の描きたいものが、あまりにも尖っている、または変わっている時です。
いわゆる、一般の考えからかけ離れすぎている場合は、これもまた評価されないケースが多いです...
そのため、自分でも「好きだけど、尖っているなぁ」と感じる作品は、ある程度一般的には評価されないというつもりで臨むといいと思います。
やはりそういった意味では、「読者受け」を意識することも大事だと言えてしまいますね...
理想は、自分が好きなものを描いて、それが読者も好きなものであるケースが一番いいですが、なかなかそうはならないことも多いです。
これもまた不思議な話ではありますが、王道の作品を描いていても、読者の好きなものにはならない、と評価されてしまう場合もあります。
もちろんそこには、いろいろな原因が考えられるわけですが、そのフィードバックと考察を繰り返し、繰り返し、それを続けた結果、「自分の好き」を考えなくなってしまい、最悪の場合は露頭に迷ってしまうことも...
だからこそ、「自分が描いていて好きかどうか」は大切で、「読者受け」とのバランスも重要になってくると僕は考えます。



そして、もう一つの注意点は、好きにこだわり過ぎる場合です。
好きにこだわり過ぎて、「まだ違う、こうじゃない、こうじゃない」と考えに考えすぎて、作品がなかなか完成しないというケースがあります。
ずばり、作品が完成しないパターンは、最も良くないパターンです。
まずはネームを完成させて、それがあまり自分的に好きでなかった場合は、改めて「自分の好き」とは何だろうかを考えると良いと思います。
またこのケースは、こだわりが強い人だけではなく、「好きなものが多い人」にも起きます。
「こっちの方が良いかもしれない」、「いや、このアイデアの方が良いかもしれない」など、いろいろなアイデアが出てきて、それを等しく好きな場合です。
好きなものが多い人は、逆にどうすればいいのかわからなくなってしまうことがあります。
そういうときは、とりあえず1本ネームを完成させてみるのが良いと思います。
そうすることで、どのパターンがベストか判断がつきやすくなると思います。



さて、今回は、自分が好きな物語を描くべきかについて語ってきましたが、いかがだったでしょうか?
色々な考え方があるとは思いますが、少なくとも僕は、「自分の好きなものを描く」ということを、頭の片隅に置いておくことをお勧めします。
それでは!



 

藤山 北斗

藤山 北斗
Profile
関西学院大学文学部卒業
週刊少年マガジン マガジングランプリにて受賞
漫画だけでなく脚本も手掛ける

 

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自身もアートスクールの卒業生ですが
絵の上達は、誰かに教えてもらったり、見てもらったりする方が早いのは、間違いないと感じています。
皆さんの上達に、少しでも貢献できたらと思っています。
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