家庭用3Dプリンターで作成できる便利な小物と素材・DIYへの利用

こんにちは、イラストレーションコース のオカモトです。

以前にもデスクトップ型3Dプリンターのブログは2度ほど書かせていただいていて、古い方は2017年ですからもう6年ほど経っています。その間、家庭用・コンシューマ向けの3Dプリンターの注目度や普及・活用具合はどうなったでしょうか?

1.3Dプリンターの現状と造形方式

新製品の話はよく耳にしますし関連記事も目にします。光造形方式の3Dプリンターも安くなりました。しかし、それは個人のフィルターを通して知った情報で、世間一般的にはそれで何をするのか、何を作るものなのかは思い浮かべることもなく、多少造形に携わっている方でも同様か、さほど関心が高くなった感じもないのかなと思われます・・「そういえばそんな機械があったよね〜」みたいな・・

当校でも興味のある生徒さんからの問い合わせがちらほらあるくらいで、使い倒そうという方はなかなかいらっしゃらない感じです。理由は上記の通り、3Dプリンターで何ができるのか、何をしたらよいのかわからないという事と、データーを作るアプリの操作が大変、ときどきいうことを聞かなくてお守りが大変という、約40年ほど前のパソコンに似ているからかもしれません。

とはいえ3Dプリンターはデュプリケータでもないし、料理や家具を作ってくれるわけでもないので、やはりプラスチックや金属を造形するプリンター、ただの工具のひとつなのかもしれませんね。この先技術革新でパソコンのように家庭に一台なんてことは当分ないように思います。

3Dプリンターには紫外線照射して硬化させる「光造形方式」のほか、「FDM方式」、「インクジェット方式」などがあり、特に前者のふたつの方式には比較的低価格な人気のモデルがあります。
アートスクールが導入している3Dプリンターは3台あり、いずれもFDM方式(熱溶解積層法式)の製品です。

3Dプリンターは、一般的に物体を造形する場合の「素材を溶解して鋳型で固める」または「切削する」という方法とは異なります。
方式はいくつかありますが、いずれも素材を積層して物体を造形するという仕組みを取っています。

3Dプリンターの機種により、プラスチック・セラミック・樹脂・金属・ナイロンなど、取り扱い可能・不可能な素材があります。
技術向上により様々な素材・材料をプリント可能になったため、試作品(プロトタイプ)など、現在では多数の企業が利用しており様々な場面で活用されています。

2.最近3Dプリンタで制作したモノ① フィギュア・ガチャ

コース内で3Dプリンターを使われている方や問い合わせでは、大抵、キャラクターやフィギュア制作を目的とされている方が主です。当面はそんなモデラーさんの道具として使われていくケースが多いのではないでしょうか?

かく云う自分もあまり使う頻度はないわけですが、でも持っててよかったなぁというのはあります。とまぁそんなよもやま話は横に置いて、最近自分が3Dプリンターでの作ったモノをいくつか紹介させていただきたいと思います。

まず、最近作ったうさぎのフィギュアから・・年賀状用にうさぎを描いていたのですが、イラストのテイストを考えるのが面倒になって、写真でいいやってことで3Dに起こしたのがこれです。




以前から熱溶融積層で作ったその積層をなんとか消したくて、材料を削ったり溶かしてみたり、埋めた後に整えてみたりと毎回苦心惨憺するわけですが、今回はスプレー一択での挑戦。サーフェイサー3回、エナメル光沢ホワイト5回・・こんだけ作業をやっても積層痕はわかります。やはり、サンドペーパーかけはした方がよいようですね。

でもまぁ、3Dにしたところでもひとつかわいさも存在感も出なかったです。
コースに在籍している小学生の作ったブロックオブジェの方が気が利いていると思いませんか。
(下図・・これらはコース入口にガチャとして販売しています)



3.最近3Dプリンタで制作したモノ➁ DIY関連パーツ

ここからはDIY関連で まず、小さなパーツをふたつばかし・・

ひとつは自作トリマーテーブル用のパーツで、高木のトリマーをノブを回して昇降させるための、ナットとトリマーベースを固定する部品です。



黄色丸の部分が制作したパーツです。 片方のナットをトリマー側に固定し、もう一方をトリマーベースに接着固定し、ノブを回すとトリマー本体がトリマーベースの中で上下するという、いかにもシンプルで簡単に制作できる仕組みです。0.1ミリ単位で調整し高さが決まればロックします。

もうひとつはスマートロック用に、家のサムターンに合うように制作したアダプターです。(下図)



スマートロックには色々な製品がありますが、簡易取り付け型のものには鍵のサムターン似合うように色々なアダプターが付属しているのが普通と思われます。

家のサムターンの形状が微妙で、ギリギリスマートロックが取り付けられる感じでした。購入して案の定アウトだったのですが、アダプターとノブを交換すればつけられると判断し、とりあえずアダプターを制作した次第です。

こんなとき3Dプリンターがあってよかったなぁと思うわけですよね。

4.最近3Dプリンタで制作したモノ③ BOSCHの工具に取り付けるパーツ2種

そして次に、BOSCHの工具に取り付けるパーツを2種類紹介します。

下の工具はBOSCHのコンパクトなコードレスカンナです。 あとでトリマーも紹介しますが、BOSCHのこの手のコードレス工具シリーズは小さくて扱いやすく、10.8VなんだけどDIY用としては十分なパワーがあるのでとても気に入ってるのです。

で、このカンナを使うとすごい勢いで木屑を吐き出します。まぁどんな電動カンナもそだろうと思うのですが、掃除が大変なんで集塵機用のアダプターを作ることにしました。
もしかしたら純正のものがあるのかもしれませんが・・

排出口は左右どちらにもあってシンメトリーな構造になっています。なのでどちら側にも取り付けられるアダプターを設計します。(一番上のタイトルの画像が設計制作途中の図です)
複雑な3D形状になっていて、寸法出しに苦労しました。力のかかる部分なのでアソビがあるとスポッと抜けるかもしれないので、結構密着するようにギリギリで制作しました・・



上の図が完成パーツと取り付けた状態の写真です。 ロックできる仕組みも考えていたのですが、キツキツでヤスリがけをしないと入らないくらいだったのでこれでよしとしました。
2つ目を作る場合多少設計を変更しないといけないかもです。

さて最後はBOSCHのコードレストリマーの円形切り抜きジグです。

本体はこんな感じです。



上左画像が本体で、円形切り抜きジグを装着したところが右画像です。

このトリマーはベース一体型といいますか、クイック調整、微調整、スピンドルロックなどが簡単にできるのが特徴で、下の材との接地面のプラスチックを取り外すことも可能です。
そこに目をつけて、この部分を円形切り抜き用のジグをにしてしまえば、たいそうな装備をつけなくてもコンパクトなまま利用できると思いついたわけです。

下の図がその形状です。本体とは5本のボルトで止めます。 赤丸の部分は支点のピンのあるT型のスライドバーを固定するためのネジの横穴です。 スライドバーの支点の位置を入れ替えることで、直径1cm〜20cmくらいの円が切り抜けます。





先に紹介したトリマーテーブルのインサートリングをこれで制作します。 下が制作の写真ですが、アクリル板などを両面テープで固定し、支点ピンの穴を開けたところに円切りジグのピンを差し込み、コンパスのようにゆっくりトリマーを動かしていくと正確に円が切り抜けるというわけです。(下写真左)

インサートリングはドーナツ形状なので、同心円を大小ふたつ切ります。 ギンナン面ビットに合うようにインサートリングを装着しています。(下写真右)



3Dプリンターを始めようとする場合、冒頭にも書いたようにこれで何をするのかというのが前提にあるように思うわけですが、他に機械のお守りであったりアプリの使い方であったりとハードルとなるものは色々あるでしょう。それらのスキルの取得にはそこそこの時間も必要になります。

5.3Dプリンターの今後

では自分はどうかというと、数色しか発色しないPCを買った時と同様、何かしたい、何か作りたい作品があって買ったわけでもなく興味本位というのが先にあったように思います。とりあえずこれが何モノか、どれくらい使えるモノなのかを知りたいというのがあって、でもわかったらあとは放置というわけでもなく、そのつどひらめいては、あるいは必要に迫られて動かしてみるの繰り返しです。

コンシューマ向けの3Dプリンターは未だに一部の愛好家や自分のような道具マニアのためのものという感じですが、機械自体が扱いやすく自動化すればAIによって簡単にオペレーションや発想ができるようになり、色々なモノが出力できるようになるのではないかと思ったりします・・だとしたら誰でもデザイナーであり発明家でもある・・もしくは誰も持っている必要もないものになるのかも?(笑

以上、いかがだったでしょうか?
3Dプリンターについて、私はこんな風に利用していますというのがありましたら教えていただけると嬉しいです。

ではまた次のブログでお会いしましょう!

イラストレーションコース オカモト

 

オカモトショ ーゾー

オカモトショーゾー
Profile
大阪府出身
Nordbrücke版画工房に従事しリトグラフを制作。
1982年大阪靭ギャラリーにて初個展。
造形教室を主催し、油彩や3DCG、
ペーパークラフト、フィギュアなどを制作。
大阪市都市協会ギャラリーにて優秀賞受賞。
ペパクラデザイナーコンテストにて最優秀賞受賞。
Message
変わらない大事なことも多いですが、
技術や流行は変化し流動的です。
同じく個人の世界も絶えず変化しているのでしょう。
そんな中でみなさんといっしょに表現するすべを
楽しくあるいは迷いながら発見し、
学んで行けたらと思っています。
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