「写真をいじってみよう!」・・写真、加工、ペイント、抽象画の描き方など

こんにちは、アートイラストあらためイラストレーションコース のオカモトです。

今回は絵の作り方のお話です。DIYやパソコンの解体の話ではありません!写真を加工しペイントしてみようという話です。別の言い方をすれば写真のいじり方の話になるかと思います。あと、自分の作品の紹介です(笑

さてみなさんは、写真が発明されてからも人の想像力はその写真という枠を越えようとして、あるいは撮られた写真に飽き足らずに、イメージの変容という本能的な欲求が介入せざるおえないと感じたことはないでしょうか!?

たとえば、有名なマン・レイやゲルハルト・リヒターは方法論的に、現在の加工アプリのSNOWなどは見栄え的に・・アーチストや普通の人に関わらず欲しいイメージのために写真を利用していますね。



写真家の方は写真家なりに、何処まで加工すべきかを重要視していると思います。

シャッターを切る瞬間までなのか、現像の段階までなのか・・デジタル現像においてはRAW画像(未現像)からの距離にこだわっている方も少なくないでしょう。しかしそんなことは御構い無しにもうなんでもアリのような方もおられると思います。
もちろん広告写真と報道写真は性格的に違いますよね。

とにかく写真を加工するなんて今や小学生でもできるので、四の五の言わずにイジってみましょう!



上の二点は印刷物で、左側はマルセル・デュシャンがモナリザをいじった例です。タイトルが「L.H.O.O.Q」となっていますが、この意味を知りたい方は調べてみてください。

こういったことは昔から誰でもやっていたことで、どなたも振り返ってみれば、教科書にある偉人や新聞の有名人の顔写真に落書きをしてみたことはあるのではないでしょうか?

それで、右側はご存知、「フランシスコ・ザビエル」の肖像画です・・ どうでしょうか? 
何か描き足したくなってウズウズしてきませんか(笑
もしかしたらそのような発想のない方は絵描きには向いていない可能性もあります・・ウソです。落書きするのは授業が退屈だからでしょうか(笑

次の写真を見てください。
このふたつの絵は、僕が描いた宮沢賢治のポートレートです。 ふたつとも宮沢賢治の写真を元に墨で描いていますが、ひとつはドヤ顔で、もうひとつは彼の作品のイメージの寄せ集めで作った顔になります。

宮沢賢治の写真をデジタル加工してそれを描写しています。宮沢賢治はたぶんドヤ顔なんてしなかったかもしれませんね。賢治さんすみません!



そして、今年の講師展に出品する作品の1/18部分ですが、作り方を見ていただこうと思います。

下の写真、これは緊急事態宣言中に地下街の様子を撮ったものです。
いつも通っている通路があちこちで閉鎖されていて、脱出ゲームに送り込まれたかのようなワクワク感で撮ったのを覚えています。



これを順次どのようにいじっていったかを並べてみます・・

これらの補正・変形・描画などはすべてiPadの「Procreate」というアプリをメインに使っています。そのほかにも、「WaterLogue」や「Artomaton」などのアナログ描画風の変換ツールも使いました。

加工はひとつのアプリだけでなく、画材を組み合わせるように複数の処理方法の違うアプリを組み合わせて使うこともよくあることだと思います。



1. まず、トーンの調整です。ハレーションのように一部光を強調してみます。

2. 色調を調整して緑っぽくしています。
  (中央「NO NEW YORK」のジャケ風の感じでしょうか?)

3. ひたすら指先ツールです。
  筆跡の残る「古いブラシ」や「テレピン油」のブラシをよく使います。



4. ちょっと歪ませてみました。
  多少目眩がしますが、それはまだ何であるかがわかる証拠です(笑

5. さらに歪みを入れます。余計なことをするなという声は聞こえません・・

6. そして再度指先ツールでゴシゴシします。抽象画っぽくなってきましたね。
  絵画の歴史をたどる(要素の細分化・エントロピーの増大)かのような行為です!?



7. 一旦、アプリWaterLogue を使って水彩風にしてみます。
  部分的にどこかカンデンスキーの初期の抽象画を思い起こさせませんか?!

8. アプリArtomatonでも色鉛筆描画風に変換してみます。まぁまぁ面白いですね。

9. Procreateに戻って、上の二つの画像を下のレイヤーに入れます。
  部分的にブラシで歪ませて、元の画像を削ったりレイヤー演算したりします。
  普通のブラシや指先ツールも多用します。



最後に落書きを施し仕上げ調整をして終わりにします。

いくらでもいじれるのでキリがないです。 5年くらいいじると熟成するかもですが、執着がないのでこれくらいにします。

自分の心地よさを優先させているので、たぶん他の人を幸せにする要素は非常に少ないと思います・・もちろん商売柄、他人のためや多くの人のためのイラストも描けます(笑

講師展に出品する作品はこのPCサイズの絵を18枚並べたもの(下の図)になります。
(右中段が今回の絵です)



以上は写真のいじりで絵を作る方法のほんの一例ですが、最近ますます写真をトレースするイラストレーターの方をよく見かけるようになったと思いませんか? 写真を撮影するには大変な労力やチャンス、いろいろな要素が必要です。
写真をいじると同時に自分で写真を撮る訓練も欠かせませんよね・・

今回もオカモトのブログにお付き合いくださり、ありがとうございました。
ではまた夏頃お会いしましょう! 次回もお楽しみに・・


オカモトショ ーゾー

オカモトショーゾー
Profile
大阪府出身
Nordbrücke版画工房に従事しリトグラフを制作。
1982年大阪靭ギャラリーにて初個展。
造形教室を主催し、油彩や3DCG、
ペーパークラフト、フィギュアなどを制作。
大阪市都市協会ギャラリーにて優秀賞受賞。
ペパクラデザイナーコンテストにて最優秀賞受賞。
Message
変わらない大事なことも多いですが、
技術や流行は変化し流動的です。
同じく個人の世界も絶えず変化しているのでしょう。
そんな中でみなさんといっしょに表現するすべを
楽しくあるいは迷いながら発見し、
学んで行けたらと思っています。
ArtWorks
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