STUDENT INTERVIEW

絵本コースすずかさん 受講生インタビュー!

すずかさん特集インタビュー
絵本コース在籍生・すずかさんにお話を伺いました! たくさんの絵本を手がけてこられた、すずかさん。『本気で絵本を作りたい!』そんな思いがびしびし伝わってきます!
★…講師:生川
★ 絵本をかこうと思ったきっかけは?

高校生の頃美術専門の高校に通っていて、当時のグラフィックデザインの先生が本の装丁本を見せてくださって、その中に絵本も載っていたんです。
うん十万とするような絵本の紹介があって、それをみて初めて「絵本ってすごいんだな。」と思いました。その当時[ 絵本=子どもの本 ]っていうイメージがあったので、「大人たちがその絵本に大金払って買うんだ!」って知って本当に衝撃を受けました。 そこから、グラフィックデザインの視点で絵本に興味が出てきました。 ビジュアル視点なので、ストーリーはそっちのけだったんですけど(笑)

それから、大学に入り、プロダクトデザインを学びました。高校はグラフィックデザインだったんですけど、他の勉強もしてみたいと思いプロダクトデザインに決めました。大学では、様々なプロダクト関係について学び、そこには製本の授業もありました。製本のプロの人が講師としてきてくださって和製本、西洋の製本技術など色んな製本技術を学んだり、印刷所に行ったりとしているうちに本という形にも興味が湧いてきて。 卒業制作では、文の代わりに音楽を作り、その音楽を聴きながら読む絵本というのを作りました。 その時もストーリーは全然考えてなかったんですけど、そこから絵本を描いてみたいと思うようになり「絵本作家になりたい。」ってなったんですけど…

▲ 授業で製作した初めての絵本。

▲ 大学の卒業制作で作った音楽を聞きながら読む絵本。

★ なったんですけど…?

大学卒業だし、現実を見て就職しなきゃダメかなって、なって…デザイン枠のある企業に勤めることにしました。
パッケージデザインや、デザインには関係のない事務とか工場とか経理とか採用とか、小さな企業だったので色々やっていて…俗にいうブラック企業ですね。
休みが全然ないし時間もかなりオーバーしていてもう毎日ヘトヘトで、自分勤めるのは向いてないなって思いました。
でも絵本を作りたいっていう気持ちはずっとあって。
「正社員のままだと絵本を作れない!」と感じていたので、思い切ってアルバイトに転職し「絵本制作に重点を置いた生活にしよう」って改善していったのが今です!

★ なるほど…!そんな歴史があったんですね!
では、なぜアートスクールに?

カタカタってパソコンで調べたらミロコマチコさん推しのHPがバンッとでてきて(笑)
その当時ミロコマチコさんが情熱大陸に出ていたり、何かしらTVでも見ることがあり「ここすごい!!」って思って!
しかも自由に通えて、その人に合わせたスケジュールが組めるということもあって迷わずアートスクールにしました。

★ アートスクールに入ってどうですか?

入る前のイメージと全然ギャップはなかったです。
公式HPや、パンフレットも見たんですけどイメージした通りで安心しました。
高校や大学の受験に合わせて、色んな絵画教室に通っていたこともあったんですけど、他のところはHPや入る前の説明、入ってからギャップをすごく感じることが多かったんです。
私、結構わがままなので、すぐやめちゃったりしたこともあったんですけど。ここは通いやすいです。
しかも、絵本コースは3人も先生がいるので、自分に合う先生も選べるし!
私行ってない時は全然行ってないんですけど、突如行っても全力で対応してくれる所もめちゃくちゃ気に入っています!

★ そう言ってもらえると安心します(笑)
すずかさんも結構長くなりますよね、2年半くらいかな?

そうなんです。制作もあっという間だし、時間もあっという間!
大学では独自にやっていたので、制作にこんな時間かかるとは思ってなくて。
今で思えば大学の頃は適当な作業ばかりやっていたんだなってアートスクールに来て気づきました。
最近は絵本の世界の奥深さを知って、どんどん絵本に興味が湧いています!

★ 大学の頃とアートスクールに入った今ではどんな変化がありましたか?

大学の頃と比べて、絵本を作るのが頭をかかえるほど難しくなりました(笑)
作品レベル的には、考える力が成長したかなと思います。特にストーリー構成が。
大学の頃は、自分の思いついたままにストーリーとイラストに描き起こしていたので、今となれば当時は一生懸命制作していたつもりでしたが、絵本制作の奥深さを知らないまま、取り繕ったような作品だなーって思います。楽しく制作していただけでした。
スクールに入ってからの今の作品は、自分の描きたいものがいい意味で表現しにくくなっています。
たまに脳トレ・パズルをしているみたいな感覚で制作しています(笑)

★ この2年半に制作した作品で思い入れのある作品はありますか?

正直どの作品も思い入れ深いです。一つを選ぶにはすごく悩みます…
スクールで4作品の絵本ができたのですが、その中で『だらしないアーロンツアーへいく』と『くもなりくんのヘンなペット』が印象的です。
『だらしないアーロンツアーへいく』はイラスト表現、『くもなりくんのヘンなペット』はストーリー構成にすごく力を入れて取り組んだ作品でした。
どちらも本当苦戦の連続で制作を進めるのが大変でしたが、出来上がった時の達成感はその分とっても大きかったです。
今はまだ、自分が完全に納得できる作品を作れてはいませんが、一作一作が次の作品作りへの良い課題にもなっています。

イラストも、ストーリーも制作を重ねるうちに一歩ずつ前の自分よりも成長しているように実感しています。
最近はスクールに入ったばかりの自分と比べても、絵本の話へのアイディア(全体の骨組みみたいな)がどんどん湧きやすくなっています。
そこから練り込むのはまだまだ力不足ですが…(笑)
今作っている最中の2作品も思い入れ深い絵本になるよう、全力で丁寧に作り上げていきたいと思います。

▲第1作目、ウキウキすることが大好きなウキヤくん。おばあちゃんの家で見つけたなぞの落書き。どんなウキウキが待っているのでしょう。ウキヤくんの冒険が始まります。

▲ 第2作目、いつもだらしないアーロン。それを見かねたお母さんに街で有名な紳士であるソーリーおじさんの「紳士になるためのツアー」へ参加させられます。ツアーをへてアーロンはどのように変わっていくのでしょうか。

▲ 第3作目、いちごちゃんはベリーショップというお店のオーナー。ベリーショップにはいつも個性的なお客さんが来られます。今日はどんなお客さんが来るのでしょう。

▲ 第4作目、雲の子どもくもなりくん。ある日、人の飼っているペットがうらやましくなり、親にお願いしますが飼ってもらえません。 どうしてもペットがほしいくもなりくん。夜中にこっそり抜け出して…。 くもなりくんはどんなペットを見つけるのでしょうか。

★ アーロンくんは『おおしま手づくり絵本コンクール2017』で銀賞とったこともありましたね。アーロンくんを制作していて思い出に残っていることはありますか?

アーロンくんの絵本制作に取り組んでいた時、一番頑張っていたことはイラスト表現でした。元々グラフィックデザイン性の高い絵本が大好きなので、私もそんなオシャレで部屋に飾りたくなるような絵本が作りたいなと思っていました。
なので、ストーリー内容に関しては、そっちのけってイメージが強いです…(笑)
キャラクターデザインやキャラクターの名前は、海外っぽくしたくて自分の中では当時で一番考え込んだキャラクターでもありました。原画を描く画材もすごく苦戦した作品でもあります。こんなに画材にこだわって追究したのは初めてでした。鉛筆画やカラーインク、ジェル等使用して試したり、使う色を制限してみたり、新しい発見の連続で、どれだけ同じ絵を描くんだっていうぐらいしんどい時もありましたが、本当すごく勉強になりました。それもこれも先生のご丁寧なご指導のおかげです。
偶然にもアーロンくんで、人生初の賞を取らせていただきましたが、締め切りとの戦いで妥協する部分もありつつ出来上がった作品なので、全然良くできた作品とは言えません。でも学べたことはたくさんあり、それは自分の中で初めての経験で、アーロンくんとの思い出です。

★ 短期間制作だったのもあり、ストーリーも作画も最後までバタバタで「なんとか仕上がった!」っていう印象でしたものね。 でもすずかさんが目指していた絵本、「デザイン的な絵本にしたい」ってこだわって制作したことが当時すごく評価されていたと思います。 授賞式はどうでしたか?

舞台にあがって賞状もらいしました。
絵本作家のはたこうしろうさんにはサインをもらって、絵本ももう一度見てもらいどこがダメだったかを講評してもらえました!
式が終わったらオフ会があって受賞された色んな方とも交流ができました。
自分みたいに絵本描いている人は、私の周りにいなくて肩身狭い気持ちも持っていたんですけど、交流会で主婦しながら絵本制作していたり、大学の先生しながら制作して賞とった人もいて、色んな人が絵本制作をしているんだってことが知れて、すごく心強く感じました。
同じように教室に通っている人もいて、公募について、人生についても色んなことを教えてもらうこともでき有意義な時間でした。
でも、賞とったのも大分前なので、今の作品も頑張らなきゃなって思っています!

★ 今は5冊目と6冊目同時進行ですよね。
まだまだ作り出しの段階なのでつまずくことも多いかと思いますが、がんばりましょうね!
すずかさんのこれからの目標は?

目標は、変わらず「絵本作家になること」です!
そこは全然ブレません。だからもう、今の生活を早く打破したくって。
アルバイトっていう肩書きがすごくネックなんです。アルバイトしたての時は本当に肩身狭い気持ちで。でも今はそれをバネに早く絵本作家になって子どもたちが笑えるような楽しい絵本を作りたいなと本当に思っています。

★ 最後に、絵本をこれから描こうと思っている人へのアドバイスはありますか?当時の自分に言うならでもいいですよ。

当時の自分に言うんだったら「絵本描きたいって思うんなら早い段階で思い切った方がいい!」ってことですかね。
今も肩書き気にしちゃう自分はいるんですけど、当時周りが就活していて、正社員になるのが、当たり前って言う空気だったんです。それで、流れに流されて自分の気持ちに反する行動とって結局本当にしんどい目にあって、今思えば短くて1年だけの話なんですけど。当時は長く感じて、泣くほど辛くって、やりたいことを素直にやらなかった事に対してもすごく後悔していました。この生活を始めるにもいろんな人に相談してようやく決意ができて。当時は飛び込む勇気がなかったんです。だから、そこが遠回りしちゃったなって思っていて、もしこれから始めたい、絵本作りたいって思っている人がいたら「絵が描きたい!」「絵本が描きたい!」っていう自分の気持ちに素直に年齢関係なくやったほうがいいって本当に思うし、私はそれをめっちゃ応援したいです!