水彩VSアクリルVS色鉛筆 いちばん簡単な画材とは

(登場人物のごしょうかい)
T:Tちゃー 絵本の先生をしながら絵本を作っている
P:Pくん  Tちゃーといっしょに絵の勉強中

P:Tちゃーさんよ Tちゃーさんよ いきなりですが、一番簡単な画材って色鉛筆ですよね。
T:Pくん、のっけから地雷を踏むのはやめようね。
P:?
T:世間や、アートスクール大阪の中でも色鉛筆画で活躍されている方はたくさんおられるのだよ。
  それに「簡単な画材」「難しい画材」というのは、比べ方がおかしい。
P:でもほら、色鉛筆ってすぐに塗れるよ。
T:確かに着色するだけなら、水もいらないし、お手軽にできる。でもそれって、楽器に例えると
 「ピアノってキーを叩けば音が出るから簡単な楽器ですよね」って言ってるのと同じ。
  きちんと鑑賞できる作品(曲)を演奏しようとすると、10本の指にペダルまでフル活用しないといけない。
  そう考えると「簡単」とは言えないよね。
P:ピアノは色鉛筆より難しいと?
T:Pくん・・・そんな話はしてない。色鉛筆って単色で使ってもなかなか質感とか、面白味が出ない。
  実際色鉛筆で絵本を描かれている方の作業量はものすごい。何色も何色も重ねて作品を作ってる。

T:確かに色鉛筆は「簡単に色が塗れる」。柔らかい雰囲気も作りやすい。  
同じようにアクリルは「簡単に均一な色面が塗れる」とも言えるし,
水彩は「(比較的)簡単にグラデーションを作ることができる」ということもできる。
P:それぞれの画材に「簡単」な部分はあるっちゅうこっちゃ
T:そう、逆に水彩で均一な色面を塗るのは大変だし、塗り直しがきかない。
アクリルでグラデーションを作るのはそれなりにテクニックがいる。
  色鉛筆で質感を出そうとすると、何色も重ねないといけない。
P:どの画材にも「得意」「不得意」があるってことか!
T:その通り! 
P:そしたら画材を選ぶときは、どうしたらええんやろう?
T:その画材で描かれた作品が「好き」かどうか、でええんちゃうか。
P:好きなのはアクリル画やけど、アクリル触ったことないからなあ・・・。
T:画材をたくさん知ると、表現の幅が広がる。例えばこの作品何で描いたと思う?



P:水彩?
T:水性インクと水彩がメインで、手前の白い鳥はアクリル、クレーンはペン。
  そしたらこれはどう?




P:アクリル?
T:そう、メインはアクリルで、ビスケットの周りのホワホワしているとこは色鉛筆。
  要するに単一の画材で描く必要なんてないねん。
  それぞれの画材の得意なところをうまく組み合わせると、表現の幅が広がるし、
  無理に画材の「難しい」ことをしなくて済むから描きやすくもなる。
P:なあるほど!
T:「簡単な画材」はないけど、画材をたくさん知ることで、その画材の「得意」を組み合わせることができる。
  Pくんもぜひ、いろんな画材に挑戦してみ。
P:そうやな、さっそく画材屋さんに行ってくるわ!

※今回は、絵本でよく使われる色鉛筆、水彩、アクリルを題材にしましたが、そのほかにも油彩、パステル、クレヨン、版画、コラージュ
と表現の方法は本当に多彩です。表現の方法に迷われている方は、ぜひ色々と手にとって試してみてください。
全てにエキスパートになる必要はありません。ただ、少し扱いを知っているだけでも、表現の引き出しがずいぶん増えることと思います。

 

高橋 禎司

高橋禎司
Profile

京都工芸繊維大学 工芸学部 造形工学科卒
建材メーカーでデザイン開発に従事
その後、絵画、絵本作成に取り組む
'19 有田川絵本コンクール佳作入選
'20 武井武雄記念日本童画大賞優秀賞

 

Message

絵本作りに特別な才能は必要ありません。
ただ作品を作り続けることで、今まで見えなかったものが見えるようになったり、
より深く自分の伝えたいことが、伝わるようになるようです。
そして作り続けられる人は、楽しめる人です。
人から褒められて楽しい、上達するのが楽しい、ただただ絵を描くのが、 物語を考えるのが、それだけで楽しい。どれでもいいのです。
「よく知っていてもそれを好きなものには敵わない。 それを好きでも、それを楽しんでいるものには敵わない」 論語のことばですが、何かを創作する人には特に当てはまるように思われます。
講座を通じて皆さんが「楽しめる」お手伝いができれば幸いです。

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