デッサンの大切さ


こんにちは、デッサン科の黒澤です。
今回はデッサンの大切さを、背景アートを描いた経験を通してお伝えできればなと思います。

まず、私は最近まで背景をほとんど描いてきませんでした。キャラクターデザインや似顔絵を専業としていたからですね。
美大に通うと、必ず卒業制作(卒業研究)展というイベントに作品を出展しなければいけないというルールがあります。
一般的な大学で言うところの卒業論文ですね、それが不出来だと卒業できないと言うところも一緒です。

一般的には4年の初めから制作を始めていくわけですが、あれやこれやと試行錯誤を繰り返すうち、10月まで何も仕上がらず。
「折角なら今までやらなかった事を研究対象にしよう!」そう思い立って背景を描くという方向に進んだわけです。

(*以降に掲載する画像は、長岡造形大学卒業研究展に実際に展示したものの一部です。)



2021年10月の後半、とりあえず想定したイメージラインに沿った画面を作ってみる。この時に何も参考にせず描くのは難しいので、
新海誠監督の「君の名は。」を何周も見て、光や構図のイメージを固めました。惜しむらくは、私の作家性があまり出ていない点でしょうか。



2021年11月の前半、パースを意識しながら視線誘導もやってみる。一度綺麗に描いたものをぼかす事でリアリティが生まれます。
浮世絵は資料を見ながら描きましたが、その他構図や色彩はオリジナルなので、かなり頑張った方だと思います。



2022年1月の前半、背景もかなり描けるようになる。友人の写真を参考に、人物を描き入れてみても違和感がない程度になりました。
駅構内の広告のデザインもやったので、純粋なmade by kurosawaです。

これらの何処にデッサン的な要素があるんだ!と思われる方もいるとは思いますが、デッサンとは技術を図る指標に過ぎません。
デッサンが下手でも世で活躍しているアーティストは五万といますし、ぶっちゃけ専門的な知識と技術があれば生活はできます。

ではデッサンの存在意義とは?それは芸術という分野における『教養』です。専門教育ではなく義務教育に近いものでしょうか。
いきなり専門的な知識を身につけることもできますが、やはり基盤とも呼べる義務教育を受けていた方が、出来ることに幅ができます。
上にあるような背景アートも、2、3ヶ月でいきなり上達したのではなく、数年分の累積されたデッサンの知識があったから出来るわけです。
平たくいうと「デッサンはやらなくてもいい。しかし、やると選択肢が広がる。」まさに教養ですね。

さて、話は長くなりましたが、私も出展した『長岡造形大学卒業研究展2022』のwebアーカイブがこちらから見れます。

https://sotsuten.nagaoka-id.ac.jp/artwork/12617/
デザインの大学なので、イラスト系の作品は少ないですが、建築、製品、デザイン、芸術の分野から様々な作品が出展されております。
興味のある方はぜひ覗いてみてください。

では。

 

黒澤 龍信

Profile
大阪府立港南造形高等学校卒業
長岡造形大学視覚デザイン学科在籍中

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陰影や余白を意識した作品づくりを心がけています。
それによりもたらされる、質感や量感をノンバーバルなところで、皆様と共有したいです。
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