上達のコツ

こんにちは、デッサン科の黒澤です。
昨今では、絵の描き方やツールなどは調べれば簡単に出てくるので、今回は精神面についてのお話をしたいと思います。

突然ですが、皆さんはデッサンに限らず、絵を描く時に最も必要なものはなんだと思いますか?
鉛筆と紙?カルトンと測り棒?モチーフと光源?確かにいずれも必要です。しかし、最も必要なのは実はそれらではありません。
本当に必要なのは、「絵を描こうとする気持ち」です。

いやいや、鉛筆やモチーフがなければデッサンできないじゃないか!とおっしゃる気持ちもわかります。し、実際に美大受験などの際に、それらを持ってこなければ成立しません。しかし「絵を描こうとする気持ち」がなければそれらがあってもデッサンはできないのです。
「絵を描こうとする気持ち」その中の特に大事な三つの状態があります。

『目の前のものを正確に描きたい』
『描く時に脚色する』
『普段の生活から意識する』
これらについて一つずつ解説していきます。



まず『目の前のものを正確に描きたい』
これはわかりやすいですね、黒いものは黒く、赤いものは赤く。丸は丸、目は目のそのまま紙に写したいと思うことです。
これはデッサンでもなんでも、絵を描こうとした人であれば皆持っている気持ちです。
いわゆる初心者にありがちな「下手な絵」と呼ばれているものでも、この気持ちが強く出ているものが多いですね、
例を挙げると、顔を描く時に、ほうれい線や髪の毛の一本一本まで描こうとするなど、確かに無駄に線を描いているようにも思えますが、描いている、その線や形が見えている時点で描かないよりも立派なのです、あとは上達するだけ。


つぎに『描く時に脚色する』
かっこいいものをよりかっこよく描こうと思うことです。少し絵が描けるようになってきたらこの気持ちが強く出てきます。
上手なデッサンというのは写真のようにそのまま描いているのではなく、絶対作者の脚色が入ります。
しかしこれも脚色しすぎるとデッサンではなくなります。モチーフの陰影や形の印象を崩さずに、描きあがりを美しく調整していくことが大事です。


さいごに『普段の生活から意識する』
これが最も重要です。白いタイルが夏の日陰では青く見えること、太陽光と蛍光灯の光が全く違うこと、様々な物体ごとの手触り、カーテンから差し込んだ光など、この世の現象に慈しみと興味を持っていなければ、絵は上達しないのです。
日頃から楕円の形や、光と陰の法則、固有色と空気遠近法についてなど、難しくは考えずとも、なにげない瞬間にこそ考えることによって画力は上がります。
以上が「絵を描こうとする気持ち」の中の特に大事な三つの状態です。
普段から考えていることが重要ですね、モチーフを前にして初めてデッサンが始まるのではなく、普段からいかに考えているかが重要になってきますね。
もちろん、技術も大事です。モチーフの置き方や陰影の見方、用語などといった知識といった物もですね。
それは本校がお教えすることができますので、是非無料体験コースをご活用ください。
いわゆる絵の上手い人たち、絵心のあると言われている人たちは特殊な訓練を受けていたわけではなく、他の人よりすこし、「絵を描こうとする気持ち」が強い人たちなんですね。
気持ちと技術、その両方があってはじめてデッサンは上達します。

 

黒澤 龍信

Profile
大阪府立港南造形高等学校卒業
長岡造形大学視覚デザイン学科在籍中

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陰影や余白を意識した作品づくりを心がけています。
それによりもたらされる、質感や量感をノンバーバルなところで、皆様と共有したいです。
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