松下裕恵講師特集インタビュー

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松下裕恵講師特集インタビュー

今回の講師インタビューは、美術科講師 松下裕恵先生です。 松下講師の専門分野の広さたるや…!そのルーツに迫ります。

先生の考える”アートスクール活用法”

Q:美術科とハンドメイド作家コースの講師をしておられる松下講師。
古参といってよい存在ですが、講師の側から考える、アートスクール活用法を教えていただけませんか?

A:初めて通って来られる方で、真面目な方ほど、デッサンが出来ないと絵がうまくならないとか、よそ見をせず一筋に修行のように絵を描かないといけないように思っておられる方が多いように感じます。
でも私は、アートスクールに限らず、せっかくフォローしてくれる講師や先生がいるのですから、羽目を外すぐらい、どんどん色々なことにチャレンジしてみてほしいです。
趣味だからとか、作家を目指しているわけでないしと思っているからではありません。そうやって絵の上達を目指す方法もあるということです。
皆さん通われる動機も経験もお一人お一人違います。
だからこそ、アートスクールの何でもやりたいことができることが、最大の魅力であり、そこを活用せずにどうしますか!と強く主張したいのです。
それも、1枚ずつ完成させながら何て言わず、同時進行OK。
私からすれば、もうそれ最高!なんです。
そうすることがベストだという気はありませんが、私がこれまでやってきたことと、すごくシンクロするんです。
そうすると色々あっても、楽しく続けられたから、皆さんもどうですか?くらいの気持ちです。

専攻は日本画だった…そこに至る経緯とは

Q:確かに、松下講師の専攻が日本画だと知っておられる方は少ないですし、
作家としては「貼切絵」という貼り絵と切絵を組み合わせた独自の方法の作品ですし、
お仕事もあれこれ様々なことをなさっておられるようです。

作家は自称ですから…何て言うと叱られそうですが、他の講師に比べて、何をされているのか解らないですね。

A:全然たいそうなことではないのですが、今に至る経緯をお話ししますね。
元々ものづくりが好きで、小さい頃から編み物、縫い物、絵画などなど、手当たり次第にハンドメイドしてきました。
芸大に入ったのも、デッサンを習った先生から、「大学なんて4年かけて何をどうしたいのか決めるためのところやと思え」と言われ、ものづくりについて色々習えると思ったから受験しました。
友人や周りの人たちは、本ばっかり読んでいたので、国語教師か国文学者か、嫁に行くと思っていたようで、3年生の1月にそんなことを言い出したため、皆に驚かれました。

Q:大学に入られて、実際の所どうでしたか。
大学のほうが、専攻された専門分野に絞られるような気がするのですが?

A:入学前は知らなかったのですが、私の入った大学は、入学後半年間オリエンテーリング期間となっていて、全ての科目を全員一緒に実習します。個々に作品講評を教授がしてくれるのですが、その後最終的な専攻を決められるシステムでした。
何でもやってみて決めたい私にとって何よりで、結果、未知の画材で独学が難しいと思った日本画を専攻しました。
私が学生の頃は、日本画なんて特殊な世界だったんです。
それからも、日本画一辺倒ではなく、休日まで登校して、気の向くまま制作、クラブ、サークル活動などなど大学生活を謳歌しました。
アルバイトも基本学校が休みの時ですが、文化財の修復や古墳の発掘、眼医者さんの助手、食品の宣伝販売、映画のエキストラなど絵に関係あるなしにかかわらず声さえかかれば何でもやっていました。

Q:充実した学校生活だったようですね。4年経って、どうしようか目標は決まられましたか?

A:正直に言って、専攻した日本画は、アートとは程遠いレベルの作品しか生み出せていないという実感ばかりでした。
その頃の私の絵は、人としての厚み、深みがなく、どこか軽薄で、形ばかりを追いかけているようで好きではありませんでした。自分で言うのもなんですが…。それで、絵は何とか続けるけれど、一度社会人を経験することで、自分を深めよう、仕事と両立できず絵を辞めてしまうなら、私にとって絵はそれだけのものだったんだと思おう。
そう考え、結論は先延ばしにしました。
また、在学中に先生から、「本当に役立つ技術を学びたいなら、金をもらえるレベルの技術を現場のおっちゃんらから習うのが一番や」と言われたことがすごく納得できたので、社会人になってお金をもらえるレベルの技術はどういうものか、出来るなら少しでも色々な技術を学びたいと考えたのです。

Q:絵も続けるとのことでしたが、アルバイトで会社に入られたのでしょうか?

A:いいえ、正社員として採用されました。
係わった人みんなに「ぼうっとしている。夢見る夢子さん」などと言われ続け、何をするにも物覚えが悪い人間でしたので、最低10年くらい同じところで働かないと何も身につかないだろうなと考えていたので、デザイン、設計、ものづくりを学べるかなと土木建設会社に正社員として就職しました。
芸美大出身の社員がほとんどで、土木建設関係の様々なことを、トロイ私にじっくり教えてくれました。
今から考えるとドヒャーと赤面物ですが、入社前に社長面接で了解をもらい、何もできないくせにグループ展だと言っては休み、スケッチ旅行だと言っては、1か月以上休んだりしていました。その間は無給でしたが。
ものすごく忙しい会社だったにもかかわらず、そのあたり気付かず休むところが、ぼうっとしていると言われていた証でしょうね。
今なら、即戦力にならないくせにとすぐに放り出されていたでしょう。

Q:そういった中で、あれこれ試されたことが良かったと思われるから、皆さんにも勧められるわけですか?

A:そうです。私が…なんて全く考えていませんでした。
とにかく、ご縁があって教えてもらえる機会があったり、仕事に関連して学んだほうが良いなと感じたら、習ってみる。この技術を学べば作品のレベルアップに役立つと思ったら習いに行く、といったように次々と作品に繋がるものを習得していきました。
勝手に、芋づる式技術習得法だ~ などと言いつつ貪欲になっていました。
ですが、全て続けるのではなく、だいたい初級レベルで終わっています。
作品制作に役立てば良いので、そのあたりが切り替え時でした。

探究心の趣くままに ―芋づる式学習法―

Q:具体的に何をどう思って芋づる式に学ばれましたか?

A:会社では、スケッチやパース図でデザイン提案するため、設計図面からパースを起こすためにデザインパースを習いました。その理論は、風景画を描くときに役立っています。
絵画でのストーリー展開方法や視線誘導、絵巻物の技法を学ぶため絵本教室に通い、布と紙を糊で接合する技術を習得して、箱や、ノートを手作りしたくて製本を学びました。
製本を学んだときは、学生時代表具やさんで修復技術を学んだことが役立ちましたし、会社でモザイク制作するのに、表具と同じ糊を手作りしたりと、意図しないところでつながるものも有りました。

原色を使うのが苦手だったので、鮮やかな色の配色を学ぶためステンドグラスを習い、和紙を自由に染めたいと和紙染めを習い、その先生が染色家でもあったので、手描き染色を習いました。
日本画を描いた時に押す落款を自作したくて、篆刻を習いましたが、会社で石材を使ったデザインをする際、その知識が役に立ちました。

Qやはり、日本画にはこだわっておられたのですか?

A:いいえ、会社の仕事が忙しく、早朝から深夜までになるにつれ、準備や後片付けに時間がかかる日本画を続けにくくなっていきました。
そのため、並行して制作していた切り絵の比重が多くなって行きました。

切り絵について

Q:お話を伺う中で、唐突に切り絵が出てきたように思うのですが、現在制作されている貼切絵にどうつながっていくのでしょうか?

A:大学のオリエンテーションの中で、デザインの授業で切り絵の課題が出ました。そこで初めて切り絵を体験したのですが、日本画を学んでいるにもかかわらず、絵の線が汚くてどう直そうかもがいていました。その欠点を克服する方法の一つとしてごちゃごちゃさわれない切り絵制作も並行して制作していました。
会社に入ってからは、お話したように忙しい中、ものづくりを続ける方法として、切り絵の登場です。 ただ、切り絵も、細かく繊細さを追求するだけでは曲芸まがいになって私には面白くないし、そこまでする気になれないということで、芋づる式にあれこれ習う中で、面白い展開ができないかと、試行錯誤していました。
その結果、今だに試行錯誤していますが、形になったのが貼切り絵です。

Q:芋づる式でどう変わって行かれたのですか?

A:初めは一般的な、黒い一枚の紙を切るだけのものでしたが、色が欲しくなり、色紙を切ったり、切った紙の下に色紙を入れるようになりました。
でも続けるうちに切り絵の枠がどうにも窮屈に感じられ、もう線だけにこだわらず、ぼかしや和紙の質感を活かしたいなと思い、これまで学んできたことを参考に、あれこれやった結果、というか途中です。
でも、あれこれやっていたからこそ、色々な方法を想定できたし、失敗を恐れず次々に方法を試すことができたと思います。

でももしアートスクールに出会っていたら、あちこち行かなくても、ここ1ヶ所で全部できたよな。デジタルも習えたよなとも思うのです。
最大の取柄は、指導内容に無くても望めば増えていくこと。
もうこれを活かさない手はありませんよ。

―― 先生の”芋づる式学習法”、いかがでしたか?
好奇心のおもむくまま、意欲的に活動されてきたことが、今の幅広い専門分野へと繋がっているのですね。
お忙しい中インタビューに答えてくださりありがとうございました!

松下 裕恵

松下 裕恵
Profile
京都市立芸術大学美術学部日本画科卒業
土木建設会社にて企画からデザイン・制作までたずさわる。
退社後、貼切絵、挿絵等の作家として独立。主に貼切絵を
中心に個展・グループ展多数。
‘06 個展 セルヴィスギャラリー
‘05~‘09 ヨーロッパアートフェア出品
‘10~‘11 香港アートフェア出品
‘12 台北アートフェア
Message

貼切絵という、和紙を切絵や貼り絵の技法など様々に組み合わせて、作家として作品を作るかたわら、作品制作の一助にと(本当は好奇心のおもむくまま)色々な技法を楽しみ、広く浅く知識を持っている講師です。
ステンドグラス・篆刻・羊毛フェルト・和紙染め・ガラス絵・ぬいぐるみ・毛糸編み・タイルモザイク・ファブリック小物製作などなど・・・。
何でも聞いてください。

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