3Dプリントを活用しよう!
吉岡ヤスヒロ
3Dソフトで作った立体物を現実の物として出力することは、3D制作の醍醐味のひとつです。
3D講座ではハンドメイド講座の先生方にご協力を頂きながら、3Dプリントの実践的な活用法を研究しています。
今回はその取り組みの一端、Blenderを使ったデータ制作の側面をご紹介します。
まずは、Blenderの設定です。
3Dプリントサービスの要件を満たすデータが作りやすいように設定しておきます。
今回は、DMM.makeさんの3Dプリントサービスを利用しましたので、その前提でお話しします。
1. 単位の設定
Blenderの初期設定は〈メートル〉ですが、〈ミリメートル〉の単位に変更します。
ビューポートグリッドの表示もそれに合わせます。
この単位の設定を最初にしておかないと、後でモデルのサイズ調整が面倒になりますのでしっかり設定しておきましょう。
2. アドオンの設定
アドオンとはBlenderに備わっている機能拡張の機能のことです。
いろんなアドオンが標準で備わっていますので、必要に応じて機能をオンにして使える状態にします。
今回は〈3D-Print Toolbox〉というアドオンを使用します。
このアドオンを使うことで、制作したモデルが3Dプリントの要件を満たしているかをチェックすることができます。
以上の準備ができましたらモデリングを始めます。
モデリングをする際にもいくつか知っておくべきことがありますのでご説明します。
ひとつは、完成した形状は「マニホールド(多様体)でなければならない」ということです。
これは「立体物はひとつの塊になっていて、形状が重なっていたりしてはいけない」ということです。
例えば、完成した立体物の中に水を入れていったとしたら、その水は立体物の全体にいき渡って
どこからも漏れ出さない形状になっていなければならないということです。
また、3Dプリントをしていく際にできる(支え棒のような)補助材が取り出せないような空洞がある場合も
NGになる可能性があります。(デザインによってはパーツに分けてプリントする必要があります)
もうひとつは、「極端に薄かったり細かったりする部分には注意が必要」ということです。
これは素材によっても違うのですが、最低0.3~0.8mmの厚さが必要になります。
3Dプリントを発注する際には、素材によってプリント可能サイズが違ってきますのでご注意下さい。
(他にも留意点はあるのですが、それらは実際のサイトで確認していただくのがよいかと思います)
今回は、実際に3Dプリントした場合の精度や素材の感触を確かめるためのテスト用モデルを制作しました。
モデリングが完了すれば、モデルのパーツをひとつに統合し、3D-Print Toolboxでデータのチェックします。
モデルに問題があれば 3D-Print Toolboxの機能でその場所を知ることができますので、必要に応じて修正します。
問題がなければ、汎用的な3Dデータ形式であるSTLファイルとして書き出します。
Blenderでの作業は以上となります。
後は、3Dプリントサービスサイトの手順に従って注文していきます。
いかがだったでしょうか。
以上が、Blenderを使って3Dプリント用のデータを作る大まかな流れになります。
この後、3Dプリントした物をベースにさらなる手作業を加えていくことで、一つの作品(あるいは商品)に仕上げていきます。
その方法については、現在(この原稿を書いている4月時点で)ハンドメイド講座の先生方に実験して頂いています!
3Dプリントを応用した創作の可能性をご覧いただける機会がまたあるかと思いますので、
今後のハンドメイド講座と3D講座の動向にご期待下さい!
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Blenderは多機能がゆえに習得が大変なソフトですが、3Dプリントに必要な機能に絞って学ぶなら習得の負担は半減します。
機械的なパーツを制作する場合には、CAD系の3Dソフトを使った方が便利な場合もありますが、
Blenderには粘土のように立体物を造っていける強力な機能があり、より柔軟な造形が可能です。
立体制作の可能性を広げる便利なツールとして、あなたも3Dソフトを活用してみてはいかがでしょうか。
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吉岡ヤスヒロ
