カラーユニバーサルデザインの事

昨年度の小学道徳の教科書の挿し絵のお仕事を受けた際、思った事もない指示がありました。それは「見え方が違う人(色弱者)にも、伝わるように挿し絵を描く」という指示でした。

現在の「ユニバーサルデザイン(文化・言語・国籍や年齢・性別などの違い、障害の有無や能力差などを問わずに利用できることを目指した建築(設備)・製品・情報などの設計(デザイン)」という考えの中、この指示は教科書や公的な印刷物には重要な事です。

人間の目には赤、緑、青の色を感じる細胞があり、これの働きによって色を見分けているそうです。この色を感じる細胞がうまく働かない、ある種の色の区別がつきにくい(例えば、赤と緑が同じような茶色に見えてしまう)人は、色を見分けることが難しくなり色弱と呼びます。

色弱の方は、日本では男性の20人に1人、女性の数百人に1人の割合で存在するそうです。例えば,40人学級で男女が同数であると仮定したとき,クラスに1人は色弱の児童・生徒が存在するということです。

以下の図は、それを意識して元図を修正した場合の見え方の変化の例です。(現実にはもう少し詳しく色味を調整する必要がありますので、理解のためのイメージ図として認識してください)

そして「カラーユニバーサルデザイン」とは「色」の「ユニバーサルデザイン」の事です。
色の見え方が、多くの人と異なる人にも情報がきちんと伝わるよう、色使いに配慮したユニバーサルデザインの考え方の一部です。が、この考えが誌面の「デザイン」だけではなく「挿し絵」にも対応することが不思議でしたが、「挿し絵」も、「デザイン」と同様に伝える為の要素と認識すると、伝える対象について考える事は必然だと理解しました。

「カラーユニバーサルデザイン」は絵本やイラスト、挿し絵の全てに必要ではないと思いますが、その作品がどういう位置に存在するのか、アートとデザインの違い等、制作の際には考えるべき問題が含まれていると思います。

また、私の見えている現実が、「全ての人にとっての現実ではない場合もある」という思った事もない問題もありました。

参考例:Photoshop CS4 カラーユニバーサルデザインとその実践例
https://www.adobe.com/jp/joc/pscs4/showcase/vol02/tips/

 

 

 

絵本コース講師 中田弘司

 

 

 

中田 弘司

中田 弘司
Profile
制作事務所勤務デザイナーを経て、1989年よりフリーランス。
今までに幼児向け雑誌絵本等にて100話以上のお話の挿絵制作。
絵本をはじめ、「ビッグコミックオリジナル・増刊号」(小学館)表紙イラストや、
月刊誌「大阪人」にて歳時記や町歩きの画文の連載等、
壁画からキャラクターまで多様な作品を制作。
東京・大阪・神戸にて個展多数。主な絵本に「ぷぅ」( 作:舟崎克彦/ポプラ社 )がある。
Message
目には快感、心が楽しみ、気持ちを遠くに運ぶ
絵本やイラストを目指しています。
仕事での経験を生かし、一緒に考えながら、アドバイスをします。
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