「追われる」「迫る」〆切りという重圧。とお知らせ。

われわれ第二次ベビーブーム世代は
幼少の頃からいろんなマンガとともに育ってきました。
私とマンガの最初の出会いは
小学校1年生の時に母の友人から「ドラえもん」の18巻をもらった時でした。
小学校3.4年の頃には「コロコロコミック」や「コミックボンボン」などの
マンガ雑誌をおこづかいで買うようになり、
小学校高学年から高校にいたるまでは、
「ドラゴンボール」「北斗の拳」「キン肉マン」などが
連載されていたころの黄金期の「週刊少年ジャンプ」と共に過ごしました。
浪人時代には「AKIRA」や「風の谷のナウシカ」など、
描き込まれた作品をよく読んで…というより「見て」いました。

小学生の低学年あたりから、
自分は絵が得意であるという自覚が少しずつ芽生えてきた松田少年が、
将来、漫画家になることを志すことが
少しも不思議ではない環境ではありましたが、
それがそうならなかったのは小学生の時に読んだ「まんが道」、
高校生の頃に読んだ「燃えよペン」、
大学生の頃に読んだ「編集王」、
などで描かれている漫画家たちの、
地獄のような苦しみを味わいたくなかったからかも知れません。

編集部からの過酷なプレッシャーや、
刻々と迫る〆切りに身も心も消耗していく様を
あのようにまざまざと見せつけられては
とてもとてもやっていけるとは思えません。
特に、編集部という目に見える形の重圧よりもどこに逃げても逃げ切れない、
〆切りという重圧のほうがより強い恐怖を感じます。
〆切りという単語に常に付随する「追われる」「迫る」などの切迫した表現は、
人間という限られた生命の存在が
必然的に想起する「死」のメタファーのように響きます。
漫画家として日々戦っていらっしゃる方々へは本当に敬意を感じます。

5月22日から6月6日まで東京銀座の永井画廊で開催される、
第2回「佐藤一郎とその仲間たち展」に出品致します。

テーマは「ばら」です。「仲間たち」というタイトルになってはいますが、
出品作家のほとんどは1976年から2013年まで
東京藝術大学に在籍された佐藤一郎先生の生徒たちです。
佐藤一門の門下生たちの展覧会ともいえる内容ですので
そこに参加させていただくことに誇りを感じます。
気合をいれて取り組みたいと思います。


…思いますけど作品全然出来てませんで。
今、下塗りの段階で画面一面まっ茶っ茶のベタ塗りで。
今週から5月に入りますがな。〆切り刻々と迫ってますがな。
どないすんねやろうコレ。結局〆切りに怯える運命。

嗚呼せつない。

 

 

 

美術科 デッサン基礎科 松田一聡

 

(ブログ掲載時期が先生のブログ執筆時期と少しズレており申し訳ございませんが・・・先生は〆切と戦いながら記事を書いてくださいました・・・ありがとうございます。by事務局)

松田 一聡

松田 一聡
Profile
'01 東京藝術大学大学院油画技法材研究室終了
'11 「風景と静物画」展 (ホキ美術館)
'12 「重 力」展 (Gallery Suchi)
'13 アートフェア東京 2013 (Gallery Suchi ブース)
Message
物事を学ぶにあたっては一直線に目的に突き進むよりも、寄り道や遠回りをしたほうがより立体的な理解を得られるという事があるのではないかと思います。絵画の制作においても、寄り道や遠回りなど、一見は無駄に思えるような行為を経る ことで、最終的により豊かな表現に達することができると思います。そういった行程も絵画制作の楽しみのひとつです。脇道の向こうの風景に少しでも心が動いたら、迷わずにそちらの方向に足を向けて進んでみて下さい。
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