今年の最優秀賞は

こんにちは!絵本コース講師の生川です。

4月の下旬に行われた第19回ピンポイント絵本コンペ。
絵本コースの生徒さんも応募をされ、残念ながら入選は逃しましたが、
6名も1次審査通過という大健闘の結果でした。

今回、7月2日から「ピンポイントギャラリー」で
絵本コンペの入選作品が順次展示されるということで、
最優秀賞作品『じゃんけんぽんのともだち』の原画展を見に行ってきました。

 

 

ピンポイントギャラリー」は東京の表参道にあるギャラリーです。
毎年絵本のコンペが開催され、
夏前より1週間おきに最優秀賞、優秀賞、入選作品の原画が展示されます。
年によって、最初の選考を編集者さんが担当し、
その後の入選作だけを作家さんも交えて審査されているようです。
ですが、今回の審査は、
審査員のみなさんが2日間朝から晩まで204冊の作品を全て読んで選びました。
最優秀賞の『じゃんけんぽんのともだち』に至っては全員一致の太鼓判とのことでした。

 

 

中の写真もお見せできればよかったのですが、作家さんの許可がいるとのことで、ドア越しに一枚!
スペースには『じゃんけんぽんのともだち』の原画や、
作者オノガワ アサコさんが以前作った絵本の原画、
ダミー、イラストが所狭しに展示されていました。

まず、目に飛び込んできたのは賑やかで勢いのある手を擬人化したキャラクターたちです。
本作は何より、キャラクターの発想が素晴らしく、手を題材に性格を当てはめ擬人化されています。
また、ストーリー展開にも手遊びやジェスチャーの特徴を上手く絡め作られており、
審査員の先生方もアイデアを高く評価されておりました。

例えば
グーと、チョキと、パーのキャラクターだったら
3人いないとアイコにはなりません。
ある日パーがいない時、チョキが毎回負けてしまう事からグーとチョキがケンカをしてしまいます。
パーがやってきてグーとチョキに仲直りするように言いますが、全く聞き入れません。
そして、パーは呆れて別の友達を探す旅に出るのですが…

最後に、パーがグーとチョキのことが恋しくなったタイミングで、
グーとチョキが仲直りをし、手遊びのかたつむりになって現れるのです。

他にも、お金のジェスチャーなら、ぽってり太った関西人だったり
チョップだったら、ヤクザだったり
ユニークなキャラ作りをされています。

作画の方はシンプルで、オイルパステルを主体に、
山など背景はちぎり絵といった手法でした。
オイルパステルのみではペタンと平面的になるような構図でも
ちぎり絵を組み合わせることによって上手く奥行きがでて広がりのある画面になっていました。
オイルパステルもちぎり絵も子供時代によく馴染んだ画材だと思うので、
手遊びも含め、子どもが構えずに楽しめる作品作りをされているような印象を持ちました。

今回の展示は最優秀賞『じゃんけんぽんのともだち』の原画展でしたが、
入り口近くには優秀、入選作品のダミー本もあり、自由に読むことができるようになっています。
コンペの展示は毎年行われるので、
ぜひピンポイント絵本コンペに興味のある方は足を運んでみてください。
全体の傾向なども肌で感じることができると思います。

 

 

生川 彩

生川 彩
Profile

2011 ギャラリー葉「ずーたの招待状」
2013 神戸芸術工科大学デザイン部
   ビジュアルデザイン学科絵本コース卒業
2013 ギャラリー葉「ず ーたのおもちゃの箱」
2014 ギャラリー葉「ずーた&M&Nのおかしの国」
2015 ギャラリー 葉「ものがたり展」

Message
絵本は自由で楽しい世界です。
最初は不安に感じることも多いかと思いますが、不安がわくわくに変わるよう制作の経験を生かし、
共に考えアドバイスしていきます。
自分の頭の中だけで描いていたストーリーやキャラクターが動きだし一冊の本になっていく達成感は
とても楽しいですよ。
個人の"やりたいこと"を大事にし、絵に親しみ楽しんで制作していきましょう!
ArtWorks

 

 

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