活版印刷!

 アートイラストコースでは、とにかく技術的なことでも表現的なことでも色々なことにチャレンジしてもらおうと考えているわけですが、最近のレトロブームといいますか、アナログ回帰といいますか、印刷の温もりを感じる活版印刷も人気だそうで、ちょっと無視できない感じでした。活版印刷とはルネサンスの3大発明の一つで、まぁ平たくいえば大量印刷に対応できる凸版印刷のことですね。大人の科学マガジンでも小さな活版印刷機が出版されました。これは小さいけれど本格的な手フートタイプの仕組みで、予約だけでもすごい売れ行きだったと聞きます。そんなこんなで、アートイラストコースでもちょっと取り入れてみようかなと、とっかかりを考えてみました・・

 幸い、アートイラストコースには3Dプリンターやレーザー加工機があります。(これらの機械についてはまた後日にでもレポートしたいと思います) 名刺サイズの印刷なら小さいプレス機を3Dプリンターで、版をアクリル板を使ってレーザー加工機で作れるのではないかとさっそく取りかかることに!

 はい、どうですか? 手フートには遠く及ばないいたってシンプルなプレス機です。インクも手動でつけます!短時間で設計したモノが実用になるとは考えていませんが、とりあえず単純な仕組みの少ないパーツでできるものを、まずは形にしてみることにします! ネットを検索すると自作している人が・・いなくもない。簡易エッチングプレス機のようなものも商品としてあるらしい・・

 できあがりました!とにかくそれらしきものはできました。でもナイショですが組んでいるうちに失敗があることも気づきます。土台の部分はPLA樹脂で、取っ手の部分などブラウンはABS樹脂でつくりました。とくに理由はありません(笑) こういったテコの原理そのままの仕組みは単純なので、版や用紙の厚みの変化にはネジの絞め具合やワッシャーで対応します。

 次は版の制作です。ベクター系のアプリで上のように名刺のデザインを考えてみます。文字の並びをずらしたりして活版印刷ぽくしてみました。あとはレーザー加工機で彫刻できるように調整してゆきます。版なので画像を左右、白黒を反転しましょう。これをアクリル板に焼き付けカットするのです。

 左の画像はスモークのアクリル板を加工しているところです。アクリル板を加工する際にはにきつい臭いがしますので、換気には充分に気をつけます。右の画像がその加工面ですが、約1mmくらい彫れているでしょうか。レーザー加工機の精度にもよりますが細い線などがつぶれないように幾分調整しておいた方が良いようです。できたらあと0.5mmは彫りたいところですが、アクリル板に熱を加え続けると反ってきますので、彫る深さによってアクリル板の厚みも変えていく必要があります。場合によっては版を使い回しできるよう、いくつかの版を組み合わせた方が良いかもしれませんね。

 版ができあがりいよいよ印刷です。プレス機に両面テープで版を固定!少し厚みのある画用紙で名刺用紙を作ります。ここまでくるとワクワクしてきますね!

 いかがでしょうか?手際が悪くあちこち汚れはしましたが刷った感といいますか、アナログ感、出てますよね(笑) はじめはスタンプパッドでインクを付けていましたが、圧が弱いときれいに刷れないので油性の絵の具をローラーで付けるようにしました。もう少し圧がかかるようなプレス機をつくれば、凹凸もしっかり出てさらに味わい深い物になるのではないでしょうか。版の部分も前に書いたように、いくつかの版をいろいろなパターンで組み合わせてながら印刷すると、より楽しさが増すと思います。

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